メダカについて
メダカ(メス)出典:Wikipedia
メダカは成魚でも大きさは3~4cm程度の日本一小さな淡水魚です。
生息場所は、水田・用水路・小川・湖沼などで、米作地域に関係が深いことから英名:ライスフィッシュ(Ricefish)と呼ばれることもあります。
最近では国際的にも「MEDAKA」の名称で通用する国際語になりました。
メダカの寿命は自然界では1年程度ですが、人に飼われているメダカは2~3年は生きるようです。
メダカは孵化して3ヶ月ほどで成魚になり卵を産み始め、条件さえ整えば毎日のように卵を産みます。
メダカは飼育が容易 ・ライフサイクルが短いなどの理由から医学や生物学で実験動物あるいはモデル生物として世界中で飼育されています。
1994年には宇宙飛行士の向井千秋さんと共にスペースシャトルに乗って宇宙にも行きました。
現在ホームセンターやペットショップなどで販売されているメダカの多くは観賞用に改良されたヒメダカです。
野生メダカの体色は、だいたいセピアがかったグレーをしているようです。通称クロメダカなどと呼ばれたりしますが、正式名称は「メダカ【目高】」です。
一般にメダカというと売られている「ヒメダカ」を思い浮かべる人も多いと思いますが、通常メダカといったら、このクロメダカのことをさします。
絶滅が心配されるメダカ
近くの畦で市内では絶滅したはずのメダカを発見しました
メダカはかつて、日本全国どこにでも生息しているとても身近な存在でした。
ところが近年、野生のメダカは農薬の使用や水田の減少、小川の消失などの都市化によって著しく数が減少してしまい、今ではとても貴重な魚になってしまいました。
このように生息数が減少している種を絶滅危惧種と言います。
メダカは平成11年2月に、この絶滅危惧種(レットデータリスト)の仲間入りをしてしまいました。
メダカを飼育するときは全国的に生息数が減っている貴重なメダカ(クロメダカ)を飼うよりも、丈夫で入手も容易なヒメダカの飼育をおすすめします。
メダカのいろいろな飼い方
キッチン出窓のペットボトル水槽
メダカはとても丈夫な生き物なので、飼う人の生活スタイルに合わせて誰でも気軽に飼うことができます。
メダカの飼育方法でもっとも一般的な飼い方は、室内で水槽を使って飼う方法でしょう。
ペットショップで水槽を買うのも良いですが、メダカは小さいのでペットボトルを使って水槽を手作りすることもできます。
ペットボトル水槽なら、キッチンの出窓や子ども部屋など、わずかなスペースを確保するだけで、どこでもメダカを飼うことができます。
また、ペットボトル水槽は子どもたちの夏休みの工作や自由研究としても手頃な水槽です。
★ メダカ観察ノート - メダカのペットボトル飼育 -
玄関ポーチの睡蓮鉢では稚魚がスクスク育っています
もう一つの飼い方として、屋外で植物と一緒に楽しむ最近流行りのビオトープがあります。
大掛かりなビオトープは作れなくても、個人の庭や屋上、ベランダなどで楽しめるスイレン鉢ビオトープや、発泡スチロール箱などで作るミニビオトープなら、気軽に自然を楽しむことができます。
また、ビオトープは植物プランクトンの繁殖など、稚魚を育てるのに適した環境だといえます。
★ メダカ観察ノート - 自由研究(卵・稚魚の観察) -
メダカの食性
青水化した発泡スチロールビオトープの飼育水
メダカの食性は雑食性で、自然界ではケイソウなどの植物性プランクトンからミジンコやワムシなどの動物性プランクトン、ボウフラや水面に落ちた小さな昆虫など何でも食べます。
屋内で飼育する場合は、ホームセンターやペットショップで売られている市販のエサが便利でしょう。
ビオトープなどの屋外での飼育は、植物プランクトンが発生して青水(グリーンウォーター)の状態になってしまうとエサをそれほど与えなくても元気に育ちます。
★ メダカ観察ノート - メダカの飼育方法 -
メダカの繁殖
左上:カボンバ、左下:ホテイアオイ、右:アナカリス
メダカは水温が15℃以上になると産卵を開始します。
環境や個体差にもよりますが、メダカは1回の産卵で約10個の卵を産みます。
ホテイアオイ、アナカリス、カボンバ等の水草を入れておくとメダカはこすり付けるようにして卵を付着させます。
卵が付着した水草は親から隔離してください。半月程すると稚魚が誕生します。
隔離を行わないと親が卵を食べたり、せっかく稚魚が孵化しても追い掛け回して飲み込んだりしてしまいます。
また、隔離した稚魚も成長に応じて分離しないと共食いをすることがあります。
メダカの本 - ちょっと立ち読み -
メダカの種類や基本の飼い方のほか、ペットボトルやスイレン鉢での飼育、メダカのふやし方など、メダカの飼育がより楽しくなる情報がいっぱいです。
山崎浩二/著 : どうぶつ出版
小5理科の超基礎レベルを、わかりやすい図解とチェック問題でやさしく解説しているので、理科が苦手な人でもよくわかります。
月刊アクアライフ/編 : エムピージェー
自然の水辺は多様な生命の宝庫です。自宅のビオトープでも水辺の植物を取り入れることで大きく世界が広がります。睡蓮鉢に水を張り、水辺の植物を植え、メダカを飼えば、あなたの庭に新たな世界ができ上がります。
平野 威/著 : エイ出版社
メダカの歴史
「梅園魚譜」毛利梅園 画(1835年)
上部中央がヒメダカです。尾ビレの形
が現在のメダカと違いますが、最も古
いヒメダカの図と考えられています。
※画像クリックで拡大します。
メダカ【目高】は、その名の通り高い位置に目があるように見えることから付いた名で、江戸時代にはすでに「目高」と呼ばれ親しまれていたそうです。
メダカが文献上に載り始めたのは18世紀になってからで、この頃よりメダカの観賞が始まっていったといわれています。
また、当時の鉢は透明なガラスではなく、平たくて上から水面を見下ろす水盆のようなものであったといわれています。
19世紀の江戸時代中期になると、大名などの一部の特権階級の高価な贅沢品であった金魚を、武士が副業として養殖を行なうなどしたため、メダカとともに金魚が庶民の愛玩動物として次第に広まっていきました。
その後メダカは、幕末に来日したオランダ人医師のシーボルトによって「ニホンメダカ」として1823年に西欧世界に初めて報告されました。